オムニグループ社の社長がアップルの副社長に問いただした。「なぜスティーブやアップルの社員たちはIEのことばかりで,オムニウェブに一言も触れないのか?」。副社長は「IEは市場のリーダーだからだ」と答える。「市場のリーダーシップで重要度が決められるのなら,私はこのプラットフォームでなにをやっているというのだ!?」。(Kyleのシリコンバレー通信@『SoftwareDesign』20000年7月)
オムニグループ社のマックOS X用ウェブブラウザー「オムニウェブ4」のベータ6が公開,ダウンロードできる。現在オムニウェブは,主流派のインターネットエクスプローラー以外の唯一の選択肢となっているが,iCab社もカーボン版iCabのプロトタイプがすでに存在,Mozilla.orgのカーボン版モジラである「フィジラ」も暫定版が公開されている。
OS Xの開発環境の選択肢は2つ。カーボンは,既存のマックOSのソフトウェアを簡単にOS X環境に移植できる(最適化できる)環境。ココアは,オブジェクトCとJAVAによるオブジェクト指向次世代環境。で,当然ココアの方が洗練されるし,魅力的であるのだが,現時点ではカーボン化が多数を占めている。いまさらオブジェクトCで…という声は当然で,アップルはどちらかというとJAVAに重きを置いているのが伺える。で,カーボン化されたIEと,ココア環境のオムニの比較,ということになる。
実際に試してないので伝聞でしかないが,IEはそこそこかなという話。オムニはIEより断然軽く優れているという人もいれば,IEとそんなに変わらないという人も。これは自分で使ってみるまでわからないが,ひとつだけわかっていることは,IEがデフォルトブラウザであるということだ。マック版オフィスの代償と云われてきたIEのデフォルト化だが,それはまだ続いている。だが,上記のアップルの副社長の言葉が真実でないことは誰もが知っている(上記のやり取りは,5月のアップル世界開発者会議でのシーン)。オムニウェブのコードは,たぶんそれを雄弁に語ってくれると私は信じている。iCabについて一言いえば,驚くほど少ないリソースで十分な性能は驚きに値する。カーボン化されてもたぶんその能力は生きているだろう。重要なのは,市場ではない,コードだ。
|